神秘的太古の森
1993年に世界遺産に登録された屋久島は、樹齢7200年といわれる縄文杉をはじめとする屋久杉でも有名な自然遺産の島です。島の90%を占める神秘的な森や特異な生態系に1500種、日本の植物種の7割以上の植物種がひしめきあい、さらに固有種(世界で屋久島だけに自生する固有の植物)が約40種、屋久島を南限とする植物が約140種、北限とする植物が約20種も見られるという特性から「東洋のガラパゴス」とも呼ばれています。
屋久杉
日本での杉の南限が屋久島です。その南限で一般に樹齢が300年ほどと言われている杉が、2000年、3000年もの長寿の杉になるのは、年間4,000mmから10,000mmもの多雨に恵まれている屋久島の特殊な自然環境と、屋久杉の樹脂の特性が起因しています。屋久島の土台は花崗岩で栄養分が少なく、杉の生長が他の地域に比べ遅くなります。すると、年輪の幅が緻密になり材は硬くなります。そうなることで樹脂道に普通の杉の約6倍ともいわれる樹脂がたまります。この樹脂には防腐・抗菌・防虫効果があるため、屋久杉は長い年月の間不朽せずに生き続けられるのです。
また、硬質・防腐・抗菌・防虫などの特性をもつ屋久杉は古くから珍重され、屋久杉の平木がそのまま通貨になった時代もありました。通称、樹齢1000年以上の杉だけを屋久杉と言い、1000年以下を小杉、植林の杉を地杉と区別しています。その屋久杉は、標高にして600m以上から1300mくらいの所に多く自生し、1200m前後に巨大杉が多く見られます。
縄文杉
推定樹齢は7200年、世界最古の植物ともいわれています。樹高25.3m、胸高周囲16.4m。縄文杉を見るためには、荒川口登山口より片道4時間以上の登山が必要となります。現在は保護のため木の周りには立ち入ることはできません。
ウィルソン株
樹齢3000年、根廻り32m、胸高直径4.39m古株。中の空洞に泉が湧いているほどの切り株で400年前に伐採されたと伝えられていて、一番古い切り株と言われています。周囲は伐採によってできた大きな空間に再生したとみられる小杉群が育っていることなど、屋久杉林の更新の仕組みをよくあらわしています。
夫婦杉
樹高 妻25.5m 夫22.9m、胸高周囲 妻5.8m 夫10.9m、樹齢 妻2,000年 夫1,500年。標高1,230m3m程の間隔をおいた2本の巨木が10m程の高さで枝がつながっている。2本が斜面に立っているが低い位置にある妻の方が樹高があり、上端では夫と同じ高さになっており、周辺の樹木と同じ高さで林冠を構成するという強風地帯に育つ屋久杉の特徴をよくあらわしています。
大王杉
樹齢 3,000年、樹高 24.7m、胸高周囲 11.1m。急な斜面にたっており、株元の上端と下端では5.3mもの落差があり、下からあおぎ見るとその巨大さがよくわかります。下部には人がゆうゆうと入れる程の割れ目があり、中はすっかり空洞になっています。縄文杉が知られるようになる前は最大の屋久杉といわれ「大王杉」の名にふさわしく屋久杉のシンボルとして君臨しました。
翁杉
樹齢2,000年、樹高 23.7m 、胸高周囲 12.6m。頂部は枯れて損なわれており、生命力が旺盛とはいいがたいが、着生樹が多く、その根が幹を這って地面に達している様子は屋久杉の特徴を表しています。小さな流れのそばで湿度が高く苔におおわれており、屋久杉の古木らしい風格があってまさに翁杉の名がふさわしいです。
三代杉
樹齢500年、樹高 38.4m、胸高周囲 4.4m。1代目が約2,000年で倒れ、倒木更新した2代目が約1,000年で伐採されたといわれています。その上に切り株更新した3代目は樹齢数百年、三千数百年の間に三代に渡って更新していることになります。次時代を担う優良木として精英樹に指定されています。
弥生杉
樹齢3000年、樹高 26.1m、胸高8.1m。白谷雲水峡地区で最大の屋久杉であります。上部の枝分かれの様子や複雑な幹の形など、江戸時代に伐採されることなく残された巨大な屋久杉の代表的な1本と言えます。比較的低いところにあって、照葉樹林から針葉樹との混交林への移行帯として周辺の植生が興味深い。
川上杉
樹齢2000年、樹高 27.0m、胸高周囲8.9m。急斜面で弱い地盤を抱えるようにして立っています。樹皮も若々しく、樹冠もしっかりしており、かなりの樹勢を感じます。林道を引き込む際、この川上杉を残すため、計画を変更したということで担当者の名がそのままこの杉の呼び名となりました。
紀元杉
樹齢3000年、樹高 19.5m、胸高周囲8.1m。頂部は枯れていますが、斜面の下側から見るとまだまだ元気にみえます。観光バスも通る道路のすぐ下にあり、最も大勢の人が訪れる巨木。ヤクスギランドを含む荒川流域のこの一帯は大きな杉が多く見事な林相が見られます。
仏陀杉
樹齢1800年、樹高21.5m、胸高周囲8.0m。割合と平坦地に立っていて、周辺の植生は成熟度が高く、うっそうとしているため、年間を通じて湿度が高いです。樹幹はごつごつしていて、かなり空洞化も進み、杉とは思えない様相です。仏陀の呼び名からか幾つもの石塔が持ち込まれています。
白谷雲水峡
白谷雲水峡は、映画「もののけ姫」のししがみの住む森のモデルとしても使われました。標高800メートル、面積424ヘクタール、白谷川のきれいな水をはじめ、屋久島の魅力である照葉樹林や屋久杉など原生林を容易に鑑賞できます。またハイキングなど気軽に訪れる最適の森林レクリエーション地区で、苔の森と花崗岩の渓流が美しい森林フィールドです。
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